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日本の病院で使われている新型コロナウイルス感染症の主な治療薬としては、レムデシビル、抗体カクテル療法薬「カシリビマブ+イムデビマブ」、ソトロビマブ、デキサメタゾン、バリシチニブがあります。レムデシビル、カシリビマブ、イムデビマブ、ソトロビマブは点滴薬、デキサメタゾンは経口薬と点滴薬、バリシチニブは経口薬です。
レムデシビルは肺炎が起きている重症の患者さんが対象の薬です。新型コロナウイルスが自分の複製を作って増えるときに必要な酵素「RNAポリメラーゼ」の働きを阻害して増殖を抑制します。
カシリビマブ+イムデビマブおよびソトロビマブは、まだ酸素投与は必要ないものの、重症化のリスクがある患者さんが対象の薬です。カシリビマブ+イムデビマブは濃厚接触者の発症予防、無症状の感染者の発症予防を目的とした予防投与も認められています。いずれも抗体薬で、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質に結合して、病原性を抑える効果があります。
デキサメタゾンとバリシチニブには、新型コロナウイルスを攻撃したり増殖を抑制したりする効果はありません。新型コロナウイルスに感染した患者さん自身の免疫細胞が、ウイルスを攻撃しようとして暴走し、自分自身の臓器(肺など)を壊してしまう「行き過ぎた炎症」を抑える薬です。どちらも重症度の高い患者さん向けの薬です。
飲み薬タイプの治療薬候補、米メルクの「モルヌピラビル」の重症化予防効果は30%程度です。米ファイザー「パクスロビド」の重症化予防効果は89%程度と発表されています。新型コロナウイルスは容態が急変する場合も多いので、タイミングよく経口治療薬が服用できるとは限りません。また、他の人に感染させてしまうリスクは依然として存在します。妊娠中の人、妊娠の可能性がある人、および授乳中の人は、2021年12月1日現在、これらの経口薬は服用できない可能性が高いです。
一方、新型コロナワクチンの有効率は、mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)は94〜95%、ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)は約70%です。接種後一定期間が経過すると感染予防効果は低下しますが、重症化予防効果は高く保たれることがわかっています。実際に、ワクチン接種が進んだ国では感染者数が再び増えてきても重症化率や死亡率は抑えられています。また、新型コロナワクチンは妊娠中、授乳中でも接種を受けることができます。
したがって今後も、新型コロナワクチンの重要性は変わりません。まずは新型コロナワクチンの接種で感染リスクを減らし、感染してしまった場合にもワクチンの効果と治療薬で重症化防止を目指すことになるでしょう。どちらか一方のみでなく、ワクチンと治療薬の両輪で、新型コロナウイルスに立ち向かうことが必要です。
このコーナーでは、新型コロナウイルスワクチンと治療薬に関するQ&Aを毎週2題ずつ掲載していきます。
Q&Aは電子書籍『新たなギモンに日米欧の医師らが総力回答! 新型コロナワクチン・治療薬 最新Q&A50』からの転載です。
(2023年3月10日更新)
「口呼吸」を「鼻呼吸」に変えて病気を予防
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